サラリーマンとして自由に楽しく働くには、どうしたらいいんだろう?
とも
田端信太郎さんは、サラリーマンにも関わらず、フォロワー16万人超のスーパーサラリーマンとして若者を中心に人気の方です。学歴としては、石川県出身、1975年10月25日生まれ、東大受験に失敗し、慶應義塾大学経済学部経済学科に入学です。
授業に興味を持てずに留年したみたいですが、学生時代にネットに可能性を感じて技術を身につけて、月収40万円〜50万円を稼いでいたそうです。その後、NTT、リクルート、ライブドア、コンデナスト、LINE、ZOZOTOWNとキャリアを歩んでいます。
本書では、そんな田端信太郎さんが、どのような考え方・戦略を持って上記のキャリアを歩んだのかが赤裸々に綴られています。ということで、印象深い箇所や学びが大きい箇所を引用しながら紹介していきたいと思います。
巷では、エクストリームサラリーマンと言われています。ちなみにエクストリームとは「極限」や「極端」という意味をもつ英単語です。
田端信太郎のブランドになれ!8選
全ては紹介しきれないので、8つに厳選して紹介します。
田端信太郎の下積み時代「質を追求するな。量をこなせ」
最初からムリに内定を取ろう、という卑屈な気持ちが1ミリもないから、面接官に対して、「おたくの新卒採用のウェブサイトいくらで制作してます?それ、ボラれてませんか?」みたいに生意気なことを言いまくっていた。グループ面接で、生意気な意見を好きに言い放っていると、同じグループの女子が尊敬の眼差しで僕を見ていることに気付いた。マイクロソフトや、ヤフーに出向する前提での、ソフトバンクのインターネット事業部での採用枠など、様々な会社から内定を得た。結局のところ、新卒カードでないと入りにくそうな会社という印象で、NTTデータという硬い会社に入社することになった。
田端信太郎さんは、学生時代からウェブ制作で50万程稼いでいたので、就職するつもりもなかったようですが、そこは親父にハッパを掛けられて、試しに就活をしてみたところ、とても面白かったといいます。
「別に就職しなくてもいいや」という余裕から、強気でガンガンに面接官相手にいけたため、内定バンバン取れたようです。その戦略はNOTEでも有料で公開されており、その中でも「就活は強気で行くのが大切!」と豪語されていました。
その中から、新卒でないと入れないだろうというプレミア感からNTTに入社した田端さんは、「メディア企画営業」という部署に所属し、アポ数件と会議と提案資料作成と収支分析と見積もり提出と終電で帰れることが稀なくらいの猛烈社員だったそうです。
このときの大量の仕事をこなし続けたことで、要領が良くなり、生産性が高まり、大量の仕事をこなせるようになった経験から、ブランド人になりたいならまずは「最低でも2年間は馬車馬のように働け」といいます。
MBAにせよ、弁護士(法科大学院:ロースクール)にせよ、何かを習得するには「2年間」という数字が大切なのだと主張しており、なるほどなと思いました。そして、3年目の最初の頃に、日経新聞の求人でリクルートを見つけて転職を果たします。
これは暮しの手帖の雑誌編集長として著名な松浦弥太郎氏とも通じるところあります。やはり、優秀なサラリーマンというのは、みんな共通した考え方を持って働いていますね。
まずは名乗りをあげること
僕はリクルートで新規事業を立ち上げるための社内コンペ「RING」に早速エントリーした。(中略)3回目の応募では「R25」の前身となるプロジェクトでその年の最高となる準グランプリとなった。今思えば、その当時のプレゼンなどハッタリに近かった。(中略)「R25」をフリーマガジンとして配布するためには、当然のことながら広告を募らなければならない。様々な広告代理店を訪ねながら、結果的に、電通に完全買い切りの戦略パートナーになってもらった。60万部もの「R25」を毎週無料配布するための事業体制を構築するためには、たいへんな労力を要した。(中略)27~28歳の若造が立てた初年度での費用規模が約20億円の事業計画が、とうとう現実に実を結んだのだ。
リクルートに転職して、田端信太郎さんの名前を一躍有名にしたのが、「R25(Wikipediaへのリンク)」というフリーペーパー及び、ウェブメディアです。「R25」は田端信太郎が企画者(発起人)だったんですね。
このプロジェクトを成功させるために、上司から「そんな甘い世界じゃねぇ」などと沢山ディスられたようですが、多くの広告代理店に営業を掛けて、電通に広告枠を完全に買い取ってもらったというから驚きです。予算規模は20億円という規模です。笑
このR25(毎週65万部発行)により、田端信太郎さんは業界の間で有名になったみたいですね。R25の田端信太郎と。
サラリーマンはノーリスク
自信たっぷりに企画を通したのだから、「R25」が大失敗したらもうオレは会社にはいられないな」と思った。だが、そこでハッと気付いたのだ。おい待てよ、たとえ「R25」がズッコケて億単位の巨額の損失を出したところで、「給料を全額返還せよ」と迫られるわけではないじゃないか。会社から多額の金銭を横領しているわけでもないし、事業失敗の責任を取って、昔の武士のように打ち首になることもない。責任を取るといっても、せいぜい会社をクビになるくらいだろう。打ち首に比べれば、かすり傷だ。そのときは転職活動をし、次の職場を探せばいい。
そして印象深いのがこの箇所。サラリーマンはフリーランスと違って、事業に失敗したところで解雇になるくらいなので、労働市場にコミットしている人材からしたら、痛くも痒くもないということです。。
これは恋愛工学で有名な藤沢数希氏もよく主張していることであり、「サラリーマンとは、ノーリスクでビジネスができる美味しい身分」なんですよね。例え、巨額の損失を出したところで、自身の資産にはなんにも影響は受けません。
つまり、サラリーマンとは、会社の資本を使って、世の中に影響を与えることができる、便利なツールという見方ができるわけです。優秀な人材というのは、会社にしがみつく気はなく、得てして「利用してやろう」という気持ちの人が多いです。
もちろん田端信太郎さんは、会社とのコミュニケーションをしっかりとって、信頼関係を得ているからこそ、ここまでの予算規模を動かせたわけであり、ただ利用してやろうとするサラリーマンは、干されて終わりです。笑
売上よりもインパクト
会社は利益至上主義で君たちに厳しくハッパをかけるかもしれないが、そんなものはブランド個人にとっては、制約条件でしかないのだ。上手くいなしておけばいい。このさい脇に置いてしまえ。ブランド人になりたければ、社内での人事評価ではなく、社外へ向けて、圧倒的なインパクトを残すことを最も重視すべきだ。仕事をするにあたって、途中プロセスである社内評価ではなく、社外においてインパクトと爪痕を残すことをより重視することがブランド人の基本態度だ。
また面白いのが、社外へ向けて圧倒的なインパクトを残すことを最重要視している点です。普通のサラリーマンは、与えられた仕事を淡々とこなすことをただひたすらルーティーンワークのごとくこなして、社内評価を保つことに注力します。
しかし、田端信太郎さんは、社内評価よりも社外評価を重視しており、そのために解雇リスクを取って、積極的に社外評価を得られるような活動に精を出します。そ
のうちの1つがTwitterでの情報発信であり、実際にそのキャリアを有効活用し、「田端信太郎」という名前はネット界隈ではブランド化しています。
優秀な人よりも面白い人の方が強い
逮捕直前のホリエモンと偶然に六本木ヒルズ38階の会社のトイレで会ったとき、僕はこう言われた。「オレが体を張ってネタを作ってるんだから、とにかくオレを最大限活用しろ。ネガティブでも何でも構わないから記事にしてページビューを稼げるだけ稼げ!」衝撃だった。人生最大のピンチを迎えている状況で、ここまで自分をネタにできる人間がいるのだろうか。(中略)自社の不利益になろうとも、ユーザーが求めるもの見たいものを最優先した。結果的に、アクセスは増え、ホリエモン逮捕以降でも事業価値が維持されることにある程度は貢献できた。
ライブドア時代の話もちょこちょこ出てくるのですが、その中でもホリエモンとの逸話が面白いです。リクルートのR25がルーティーンワーク化していたところ、ホリエモンにヘッドハンティングされてライブドアに転職した話が出てきます。
そのホリエモンが逮捕されてしまうのですが、ライブドアでメディア運営を任されていた田端信太郎さんは、社長の逮捕をネタにして、アクセスをガンガン増やしたそうです。
もちろん投資家からは電話など激しい抗議にあったそうですが、ユーザーが求めるものを優先するというホリエモンと田端信太郎さんの姿勢は、多くのサラリーマンが見習うべき点ではないでしょうか。
システムの歯車になるな。システムそのものを創れ
なぜ僕は、終身雇用クソくらえとばかりに次々と転職を繰り返してきたのか。それは「システムの歯車」の一部になるなんて、まっぴらごめんだからだ。(中略)リクルートの「R25」は、全ての広告ページが電通の買い切りだった。毎週「R25」を発行するためには、電通との打ち合わせや営業協力に多大な労力をさかなければならない。世の中のしがらみにからめ捕られ、調整ごとばかりに追われる打ち合わせは、僕にとって不毛な時間だった。そんなものは僕にしかできない仕事ではない。もはや世の中をアッと言わせるプロジェクトではない。
よくサラリーマンは社会の歯車と言われますが、田端信太郎さんはシステムの歯車にはならないように抵抗し、歯車化したら転職をするという戦略というか姿勢です。この姿勢が、サラリーマンのブランド化において、重要なんですね。
今は転職市場も超売り手市場ですので、もし会社のシステムの歯車化している人は、この機会に転職エージェントに登録するだけでも、自分の市場価値を知るためにもオススメです。転職エージェントについては、下記の記事にまとめてあります。
参考
第二新卒・既卒おすすめ転職エージェント【比較・評判】・比較・評判・口コミともろぐ
波になる前に波の予兆に乗れ
幾多の転職を繰り返す中で、身をもって痛感したことがある。どのタイミングで波に飛び乗るかによって、サーフィンはおもしろくても、つまらなくもなる。(中略)「この業界は今かなり波が来ている」と思える。会社の株価も順調に上がっている。採用枠への応募者が多く、人気が高い職場。しかし、外からみて、ピッカピカに魅力的に見えるタイミングでは、実は中にいる当事者にとって本当においしい、大きな波は終わりかけている。世の中の評価は一歩か半歩時代遅れになっている可能性が高いのだ。
とはいえ、転職にはタイミングが重要といいます。そのタイミングとは「波(ブーム)が来る前」です。これは自身の経験上からも非常に共感しました。先行者利益といって、ブーム時に美味しい思いができるのは、ブームの前からポジションを取っていた者なんですよね。
例えば、仮想通貨なんてその典型で、みんなが騒ぎ出して、メディアでバンバン露出されるになって、そこら辺のおばさんがやり出したらもうバブル崩壊寸前といいますからね。実際に、仮想通貨は1月に80%の大暴落して、多くの保有者が大損失に陥りました。
僕も数百万円の大損失を抱えたので、この波が来る前に波に乗ることの重要性を非常に痛感しています。
ツイッターのルール「ネガティブなことは書かない」
ツイッターには絶対にネガティブなことは書かない。私生活や仕事に関する愚痴を書いたところで、見ている人まで不愉快になって生産性がないからだ。ツイッタラーたるもの、ネット上に負の感情を不用意にさらすべきはない。大のオトコがさらす泣き言ほど、醜いものはない。
最後に、Twitterの運用ルールとして、「絶対にネガティブなことは書かない」ということを守っているそうです。これはTwitterあるあるで、Twitterはついつい弱音や負の感情を吐露してしまうツールなんですよね。
たまにならいいかと思うのですが、ブランド人になりたいなら、それは絶対にさらすべきでないというは、正にその通りであり、自分もTwitterの運用ルールとしてネガティブなことは書かないように気を付けたいと思いました。
やっぱり、ネガティブなことをつぶやく人は、どうしても評価が下がってしまいます。信頼関係が構築されていれば、「今日は○○さん、なんか機嫌悪いのかな?」で済みますが、やはりその人の印象は悪くなるのが正直なところですね。
おわりに
本書は幻冬舎の敏腕編集者の箕輪さんが手掛けているというのもあって、SNSでの拡散を考慮した巧みなデザインになっています。また忙しい現代人のライフスタイルに合わせて、遅読の自分でも2時間弱で読めてしまう読みやすい構成になっています。
ただの社畜サラリーマンとしてのキャリアを歩むのではなく、市場から求められるスーパーサラリーマンとしてのキャリアを歩みたい人にとっては、とても参考になる内容でした。特に若者に読んで欲しいと思います。
人生設計やキャリアについては、橘玲氏の幸福の資本論もオススメですので、興味ある方は下記もご一読ください。