とも
皆さんご存知、実業家のホリエモンと最近話題のメディアアーティスト落合陽一さんの働き方に関する本が出版されました。お二人とも未来志向で非常に見識のある方なので、4月13日発売にも関わらず、下記の通りかなり売れているようです。
【重版決定!6刷!計17.5万部🔥】
『10年後の仕事図鑑』(堀江貴文、落合陽一共著)@takapon_jp @ochyai
増刷が決まったと、担当編集の方から連絡が来ました。
刊行からちょうど1ヵ月ほどで、このスピードは本当に嬉しい驚きです。
中高生に読んでもらいたい一冊です!https://t.co/QGSJbs8PSN pic.twitter.com/7nUnr6TJVF— 長谷川リョー|Ryoh Hasegawa (@_ryh) 2018年5月8日
早速読んでみたところ、非常に読みやすい上に、論理もしっかりしており、またよくまとまっているため、大変いい読書ができました。印象に残った箇所を引用しながら、この本の内容を紹介したいと思います。
激動の時代を生きるあなたへ
序章はこれからの生き方についての考え方を紹介しています。
仕事は作るもの
これからの時代において、「仕事がないから、収入がない」というのは、言い訳に過ぎない。誰にとっても、仕事は「引き受ける」ものから「作るもの」へと変わっていくのだ。
会社員(勤め人)時代は、上司から言われたことをひたすら引き受ける働き方をしていましたが、独立してフリーランスとして働くようになってから、「仕事(付加価値)は作るもの」ということを痛感しています。
例えば、受託仕事にしても、他の人よりもスピードやクオリティやオリジナリティといった付加価値を付けることで、その仕事の価値を高めることも、立派な仕事を作るということです。僕の周囲のライターさんなどはそうして文字単価を上げています。
これは個人事業主として働いている人からすると当たり前なんですが、会社員として受け身で働いていると実感しづらいかもしれません。しかし、この仕事を作る感覚を理解すると、消費者から生産者になることができて、人生が一気に楽しくなります。
存在自体が訴求力がある人になればいい
これからは「他人と違うことをやっていくことを基本とする」ブルーオーシャン的な思考と戦略を持って、画一化されていない個人の訴求力と相互的なフォロワーシップによる共依存関係を持つべきだ。自分しかそれをやっていないけれど、それが正しいと信じ、競争することをやめる。(中略)
1つの仕事の専門性を高めるだけでは、つぶしが効きづらくなるともいえる。好きでやっているのならまだしも、やらされてやっているような職業である場合、その時間の浪費は人生の損失であり、好きなことや楽しいことを突き詰めてニッチトップを目指したほうが人生が楽しくなるのではないかと思う。ぜひ自分の好きなことを探して、今までにない組み合わせと掛け合わせて、自分なりの新しい分野を作って欲しい。
高度経済成長時代は画一的な生き方・働き方「いい大学→いい会社」というレールの上を走ることが正解でしたが、これからそういう人材の価値は低くなっていきます。そして、テクノロジーの台頭によって、ほとんどの職業は淘汰されていきます。
そこで、好きなことなど、自分が興味関心がある対象に没頭することで、専門性を高めるわけです。ただ、1つだけでは競合が多いので、何かと掛け合わせることで、AIに代替されない存在自体が訴求力のある希少な人材になることができるわけですね。
すべてが逆転するこれからの働き方
第1章はこれからの働き方について紹介しています。
労働者=経営者
経営者視点でいう「会社=company」とは、ギルドの考え方に由来する。ギルドとは中世ヨーロッパの、いわば「同業者組合」で、ギルド内の同業者メンバーが皆でお金を出し合い、価値あるものを作り、取り分を決め、そこに労働力を当てはめる枠組みをとっていた。つまり働く個人同士が、お金を出し合い、自分自身の仕事を決め、儲けた金額を配分していたのだ。
ここでポイントになるのは、同業者メンバーが皆で労働力を当てはめるという点だ。経営者がトップダウン方式で労働力を当てはめる考え方ではない。つまり、「労働者=経営者」で、価値あるものを一緒に作り出そうと努力する考え方だ。
これも会社をやめて個人事業主として働いている身としては、非常に納得しました。自身の労働力の配分を、経営者や上司にコントロールされずに、自分で決めることができるので、この働き方は生産性が高くオススメです。
会社にしがみつく必要はおそらくない
会社の寿命は人より短い。だから、今のタイミングで会社にしがみつく必要はおそらくない。これから先、他人と同じこと、すなわち「競争する」ことが決まっている領域は、データさえ揃えば機械のほうが強くなることは必至だ。「今、誰が何をやっているのか」ということは、インターネットを調べれば大体すぐにわかる。
競合他者がいないかを徹底的に調べ、他人と違う自分の「価値」を認識する。そして、淡々とやっていくということを基本スタンスに捉え、人生価値を差別化するサーベイの上に、「ブルーオーシャン」を求める思考こそが必要になる。好きなことで価値を生み出すスタイルに転換し、利潤を集めていくことが可能になれば、どこでも活躍の場を見つけることができる。
データさえ揃えばできてしまう仕事は、機械に代替されると考えた方がいいですね。そこで、代替されないために競合他者にはない価値を考えて差別化戦略を取るのが望ましいということです。
好きなことや興味関心あることで、仕事にできないかどうかを考えてみると、結構仕事にできることが判明します。今はスマホの普及で簡単に個人にアプローチすることができるので、コストも掛かりません。
どの分野も第一人者が強い(先行者利益)のですが、これから会社以外での稼ぎ方、給与所得以外の収入を得る人、また得ようとする人が増えてくると思うので、やるなら本当に今がチャンスだと個人的には思います。
その一方で堀江貴文さんはこうも言っています。
「大企業で働くことだけが、幸せな人生だとは限らない」のは、労働形態をみても明らかだ。長い通勤時間と通勤ラッシュ、長時間労働。組織内の風通しだって問題だ。気が遠くなりそうなほど煩雑な指示系統、無意味な部署間争い、自分の意思など反映されない人事配置。ひいては労働生産性よりも重んじられる、職場の人間関係…。大企業信仰なんて、さっさと捨てろ。
ちなみに僕は思いきって会社をやめて、好きなこと生きていくことに人生を振り切りました。もし失敗しても、今の時代なら転職サービスを活用することで、ホワイト企業に入れます。さらに下記の記事で紹介した通り、様々な働き方の戦略もあるからです。
大企業などはブランド力があるため、そのブランド力を利用して仕事をする戦略は結構有効に機能すると思います。実際に幻冬舎の箕輪さんは、幻冬舎というブランドを駆使して給料の何倍もの所得を稼いでいます。
なくなる仕事・変わる仕事
- 管理職
- 秘書
- 営業職
- 現場監督
- エンジニア
- 弁護士
- 会計士・税理士・社労士など
- スポーツの監督
- 介護職
- 警備員
- 教員
- 研究者
- テレビ
- 事務職
- 倉庫業務
- 公務員
- 窓口業務
- 医師
- クリエイター
- アート
- 銀行員
- 運送業
- 翻訳
- ドライバー
- 農業
- 顧客対応
- コンビニのレジ打ち
- 書店
- 飲食店
- 物流
- 編集・校正
第2章にあたるこちらは、なくなる仕事や変化する職業が図解とともに記載されています。詳細が気になる方はぜひ本書を読んでみてください。ここでは、代替されない方法を紹介します。
あらゆるものに市場原理が働き、働き方が最適化される時代
煩雑性の高い職業を掛け持ちしている人材は、機械に代えるのが非常に面倒だ。コストを割いて機会に代替されるほど、経済的なベネフィットが働かないからだ。つまり、時代の進み方とともに、あらゆるものがコモディティ化していくことに対して、学び続けていく価値が一番高くなる。(中略)
つまり職業・職能を考える上で、最終的に「ある市場や経済圏の中で、その人しかできない状況をつくる」ことが重要なのだ。
テクノロジー化とグローバル化によって、あらゆる職業の価値が低下するなかで、その時代の進化に対して抵抗する手段として有効なのが、学び続けることです。学び続けることで、機械に代替されるコストを上げて、AI化させないわけです。
そうやって複数の学び続けて、また複数の専門性を鍛えていくことで、「○○さんだから依頼したい」という状況を作れば最強です。
生まれる仕事・伸びる仕事
- 個人経営のお店
- 職人
- ドローン
- ショービジネス
- テレプレゼンスロボット
- 一億総クリエイター時代
- 予防医療
- 宇宙開発
- 感情のシェア
- 観光業
- AIを操る
- 音声認識技術
第3章にあたるこちらは、AI化によって逆に生まれる仕事や伸びる仕事について紹介しています。こちらも図解詳細については本書に記載してありますので、ぜひご覧になってみてください。
お金の未来
近年は仮想通貨の誕生など、お金の価値観が問われています。また、長時間労働の問題からお金よりも時間の価値が高まっています。この本でも、こうしたお金の価値観について紹介されています。
歴史から見るお金の本質
お金や契約や原始社会のルールが存在する以前、「他人」はとても信用のできる相手ではなかった。いつ自分の持ち物が盗まれたり、襲われたりするかわからないからだ。物々交換という手段は存在するが、無事に交渉・交換が完了するまでには、疑いと相手に対する不信がつきまとっていた。気安く他人に話しかけたりすることはできなかったのだ。この相手に対する「不信」が、お金の出現によって解消されるようになる。
お金は他人を信用する手段として普及しました。お金があることで、安心して他人からサービスやモノを交換することができるようになったんですね。つまり、お金持ちとは信用持ちのことなんですよね。
持ち家信仰による負の遺産
戦後、所得倍増計画の一環として「持ち家信仰」が唱えられはじめた。所得倍増計画とは、池田勇人内閣政権下で実施された長期経済計画だ。これは実は非常に単純な仕組みで成り立っている。住宅が1棟売れると、資材や設備が売れ、大工には給料が入り、そのお金は生活費として使われるなどして、お金がどんどん世の中を駆け巡る。
この経済波及効果があるため、特に住宅は効率よくお金が回せると考えられていた。ローンを使って家を建てさせれば、金は余すことなく世の中を回る。するとGDPが拡大していくというロジックだ。だから、国も民間もこぞって家を建てるように奨励した。しかし、日本では建て終わると、その持ち家は負の資産になる。
よく「賃貸派VS持ち家派」で議論がわかれていますが、少子化で空き家率が年々上昇しているこの時代に、持ち家派がなぜ多いのかというと、所得倍増計画による国と民間の思惑があったからだったんですね。
この計画の名残がいまもあって、夢のマイホームなどという人々の憧れの代名詞になっているんですね。
ピュアな情熱に導かれた、自分の人生を生きよ
最後の章は、好きなこと、情熱にフォーカスして生きていくことの重要性について紹介されています。
モチベーションが人間の価値を左右する
テクノロジーが発達していけば、身体に関することはかなりの確率でコンピュータに補完されるようになる。(中略)そうすると能力差=経験差といった構図が生まれるのではないだろうか。「何を経験したか」で差分が生まれるのだから、「何をやりたいか」というモチベーションの有無が人間の価値を左右する変数になる。
モチベーションを価値に落とし込むのに重要なのは、「言語化する能力」「論理力」「思考体力」「世界70億人を相手にすること」「経済感覚」「世界は人間が回しているという意識」、そして「専門性」だ。専門性は、どんな小さなことでもいい。「自分にしかできないこと」は、他人から必要とされるのに十分な理由になる。ポジションを取り、他の誰でもない”個”の価値を叫ぶのだ。
スキルがテクノロジーによって代替されるなかで、今後は経験が価値を持つようになっていきます。そして、その経験を得るためのモチベーションが、人間の価値を左右するようになっていくと落合陽一氏は主張しています。
おわりに
未来の仕事に関する書籍はたくさんありますが、この本は業界をリードするお二人が、非常にわかりやすい形で説明している点に価値を感じました。とにかく読みやすく、図鑑らしくイラスト付きで読みやすいです。
ここ最近の働き方や生き方のエッセンスがこの1冊にわかりやすい形で詰まっているので、近年の働き方ブームを知っている方でも、頭の中を整理するのに最適な本になっています。もちろんまだ未来の働き方について、よくわからない人にも超オススメです!