⇒⇒第二新卒・既卒転職エージェント

佐藤可士和のデザイン哲学/仕事術まとめ

佐藤可士和の哲学/仕事術まとめ

こんな疑問や課題に答えます▼

日本一有名なデザイナー、佐藤可士和さんの仕事に関する考え方ってどんなんだろう?

とも

ユニクロ、楽天、セブンイレブン、ツタヤ、今治タオル、国立新美術館のロゴデザインを制作しているデザイナーさんが全て同一人物って知っていましたか?そう、そのデザイナーが佐藤可士和さん(以下、敬称略)です。

今日はそんな日本一有名なデザイナーである佐藤可士和の仕事に関する様々な考え方や方法論を紹介したいと思います。とても生き方や働き方を考える上で刺激的な内容になりました。

デザインの考え方・発想方法

明治学院大学のロゴを制作した際の考え方について語っているんですが、佐藤可士和のデザインの発想は「ヒアリング」からです。だから、アイデアで困るということは一切ないというのです。

ヒアリングしてデータを取る

実はみんな同じ事を言ってる事にたくさんデータを見ていると分かったんですよ。それでなるほどと。だからはっきりとしたバーンとインパクトがある学校ではなくて、控えめなんだけど、芯が強い事がアイデンティティの学校なんだなってことが段々浮かび上がってきた。
出典:仕事学のすすめ 2009年12月ー2010年1 (NHK知る楽/木)

だから、このロゴ制作のときも大学生にとことこヒアリングしてデータをとります。リサーチに時間を惜しみなく掛けるのです。この辺はAIが発達すれば、デザイナーはもっとクリエイティブな部分に時間を割けるようになりますね。

僕もWEB制作会社に勤務していたので、WEBデザイナーはヒアリング、つまりコミュニケーション能力が重要な仕事だと痛感しています。ただパソコンの前で作業すればいいってわけではないんですよね。

AI時代における働き方や生き方については下記の記事で詳しく解説していますので、興味あれば読んでみてください。


参考
10年後の仕事図鑑:堀江貴文&落合陽一【書評】ともろぐ

マーケティングまでデザインする

明学はオープンキャンパスのやり方も変えた。それまで慣例だった新聞による告知ではなくて、ダイレクトメールを作って、受験生を招待するやり方を始めた。しかも、お昼が無料で食べられるというミールクーポンを付けて、より多くの受験生を呼びこむことをした。その結果、2007年度のオープンキャンパスは前年度のおよそ2倍である1万人を呼び込んだ。クリエイティブな発想を用いて、やり方を変えることで、多くの人々に大学への関心を持ってもらえる事ができたのです。

そしてここが佐藤可士和の真髄なんですが、ただデザインのロゴを制作するんじゃくて、マーケティング方法までデザインしてしまうんです。慣例の新聞告知にメスを入れて、DMやクーポン訴求により2倍の集客達成します。

クリエイティブの秘訣は「客観的」

結局、クリエイティブであるということは、客観的だということ。主観的だと思いがちなんですが、実は違っていて、すごい客観的になれるっていう事だと思うんですよ。だから、自分のエゴとか思考とかを離れて、相手の立場に立って考えたり、社会の立場に立って考えたり、いろんな客観的な視点がどれだけ持てるかという事が、クリエイティブの秘訣かなと思います。

クリエイティブと聞くと、凄腕デザイナーによる主観的なセンスによる感覚的なモノをイメージしてしまいがちですが、佐藤可士和曰くそれは全くの正反対で、「クリエイティブは客観的」と断言します。

だから、佐藤可士和のデザインは多くのロジカルなビジネスマンに人気なんですよね。そのデザインに至るまでの過程がしっかりとロジックとしてあるので、説得力があるわけです。

クリエイティブとは「問題解決」

僕がクリエイティブの力をどう捉えているかっていうと、問題解決の一つの手段というか、そう捉えているんですね。世の中問題がたくさんあるじゃないですか。それは企業にとっての問題だったり、社会の問題だったり、問題だらけなんですね。それは解決していかないと前に進まないじゃないですか。そのときに解決の仕方ってたくさんあると思うんですけど、クリエイティブっていう力も問題解決に使えばいいと思っているんですね。

さらにクリエイティブについて、どう捉えているのかというと、問題解決の1つの手段として捉えているのです。これもデザイナーというと感覚的なもので、単なる見栄えや装飾のためと思われがちですが、極めてロジカルです。

働く環境(オフィス)空間でクリエイティブな発想力が一気に爆発

クリエイティブな発想を取り入れることで、環境が大きく生まれ変わったのがこの幼稚園。機能を優先させるのではなく、子供たちがいかに楽しめるかを考え、空間全体をデザインしました。

建築家の協力のもと、ドーナツ型の幼稚園を制作。子供は遊ぶのが仕事だから、環境すべてを楽しめるようにしようと工夫を凝らした。敷地にあったケヤキの木はそのまま生かし、建物を貫くツリーハウスに。屋上はどこまでも駆けっこができる遊び場に。

こうした発想は2000年に大手広告代理店を辞め、自分の仕事場を持つ中から生まれた。空間をクリエイティブなデザインに変えていくことで、意識が変わることに気付いたのです。

佐藤可士和氏は35歳のときに博報堂を退職して、自分のオフィスを構えてから、空間(環境・構造)がもたらす人間の行動の違いに気付いてクリエイティブな発想力が一気に爆発します。

一番最初の小さい事務所を青山に自分で作ったんですが、そこで働き始めて、1週間か10日ぐらいたったときにふっと思ったんですけど、それまで博報堂にいて仕事はすごい一生懸命やってましたが、会社にいきたいのと、仕事がしたいというのは、別だったんです。会社という空間に行きたいかどうかと、仕事を一生懸命やるのとは全然別だったんですよ。どっちかというとなるべく会社にいたくなかったんです。

藤巻幸夫:僕もそうでした。

それが自分でちっちゃい事務所をつくって、オフィスのデザインがまるっきり変わったんですね。決してリッチなわけじゃないんですけど、吟味して、必要なものだけを置いた環境にしたらですね、やっぱりものすごい気持ちが変わるんですよ。例えば、毎朝、アシスタントより早く起きて、行って掃除したりね、する気になるんです。

それでですね、何やっても楽しい感じなんですよ。自分でふと「あれ?おれこんなまじめだったかな」とか、それは何かというと、環境のデザインが変わっただけなんですよ。

Wikipediaを見て分かる通り、独立した2000年以降に有名な作品を残していることがわかります。会社員時代は多くのしがらみもあり、自分の好きな空間で働くことができませんが、思いきって独立したことで才能が開花したのです。


参考
佐藤可士和Wikipedia

常識を疑う

潔いものをプロダクトとして作れば、世の中に対して新鮮なインパクトを与えられると思った。徹底的に平面に拘った。自分の美学とかを曲げてでも売れた方がいい。広告のために広告を創るんじゃない。街のなかで、なにを見たらこれ欲しいと思うか。それが一番だと思うんだよね。

平面なグラフィックデザインばかり手がけていた佐藤可士和が初めてプロダクトを作ったのが「N703ID」です。グラフィックと違いプロダクトデザインは工場との兼ね合いがあり、デザインに制限が付き物です。

このデザインも、材質が違うから色が違って当たり前と言われるも、佐藤可士和は諦めません。理想のデザインを形にするために、そういう認識・常識を疑い、死ぬような思いで工場に通って、全部の色を統一するのです。

常識を疑うというのが、環境の変化が激しい時代において、とても重要なことです。しかし、旧来の日本の教育上、どうしても画一的な考え方になりがちですよね。この辺りのことは、下記の記事で詳しく解説しています。


参考
堀江貴文本「すべての教育は洗脳である」が脱社畜の方法ともろぐ

仕事を請ける基準「最終決定権を持つ人」

最終決定権を持つ人と直接話ができることを仕事を請ける基準のひとつにしていました。最終決定者と会い、話すのは簡単なことではありません。それなりの準備がいるし、交渉の場ではダイレクトに自分が試されます。言い出したことで仕事が倍に増えることもある。覚悟もいるし時間もかかる。かなり粘り強い性格だと自負する僕でも、相当のエネルギーを必要とします。それでも、不満を感じたら意思表示することが第一歩です。

そもそも不満というのは自分からの一方通行の視点であり、非常にエゴイスティックなものなのです。クライアント側も、やりたいのにできないのかもしれない。その違いを見極めるためにも、不満を不満のままぶつけるのでなく、引っかかっている部分を疑問の形で表現するように心掛けています。先方の事情を知れば納得できることは多い。こちらが気持ちをオープンにして、コミュニケーションをよく取れば、問題の多くは解決されていくものです。

それでも、完全に不満はなくなることではありません。それでいいのです。不満は、次につながる課題になります。黙っていては、不満は不満のまま。感じたことは言葉にして伝え、コミュニケーションを取ることで、不満は納得と、前向きなエネルギーへと転換できるのです。
出典:佐藤可士和さん、仕事って楽しいですか? (宣伝会議)

決定権を持つ人と話せないことには自分の思うような仕事はできません。そこで、このような基準を設けることで、マーケティングのやり方から工場に通い続けるなど、最高のデザインを提供するために、案件にフルコミットできるわけですね。

そして興味深いのが「不満をちゃんと意思表示する」です。そしてその「意思表示を疑問の形で表現する」ことで、先方を決して不快にさせることなく、かといって媚ずに徹底的にコミュニケーションを取ることで、問題を解決していくというのです。

サラリーマンとして仕事していると、つい惰性で上から言われたことを作業としてこなしていき、上司やクライアントに対してはイエスマンになりがちですが、最高のバリューを提供するために「不満は納得と前向きなエネルギーに転換」させるのです。

  • 不満をちゃんと意思表示する
  • 意思表示を疑問の形で表現する
  • 不満は納得と前向きなエネルギーに転換

クリエイターとは?

何らかの形で問題を解決する人、それがクリエイターです。極端な話、世の中の人をクリエイターかそうじゃないかに分けるとしたら、クリエイターというのは、能動的に課題を見つけ、自分の頭で考えて行動し、解決できる人。クリエイターでない人というのは、受け身で、世の中がこうなっているから対応しよう、と流れに乗る人です。

そんな案件にフルコミットする佐藤は、クリエイターを「問題解決する人」と仰っています。形は問いません。決して指示待ち人間ではなく、自ら能動的に課題を見つけて解決していくのが、真のクリエイターということですね。全くその通りです。

佐藤可士和の仕事の流儀

佐藤可士和は「プロフェッショナル仕事の流儀」で特集されたことがあるんですが、これがなかなか見ものです。

仕事場では無口

佐藤可士和はデザインのアイデア出しでは、クライアントと徹底的にコミュニケーションを交わして、膨大なデータを取るのですが、制作時はデザインのことだけに集中するために、職場では一切雑談しないといいます。

クライアントに決して媚を売らない

佐藤可士和の肩書はアートディレクターです。そして佐藤可士和曰く、アートディレクターは「医者」といいます。だから徹底的にヒアリングします。決して患者であるクライアントに対しては媚を売りません。あくまで成果にフォーカスするのです。

口癖は「バリアを破れ」

佐藤は、街中で山のようにある「広告」は基本的に見てもらえないものだと認識しており、いかにその消費者のバリアを破ることができるのか?に焦点をあててデザインを考えています。

例えば、20パターンの案を並べてみたり、時間を置かせてみたりです。そして、コンペではその20案を並べて自分が一番推している一案を説明して、決めたプロセス自体をプレゼンします。

アイデアは最後に描く

最初から描くとそのイメージにとらわれてしまうので、デザインのデータを掻き集めて、最後に一気に描くようしています。そのくらいデザインはデリケートなものといいます。

商品の本質的価値を表現

博報堂時代、HONDAのミニバン「ステップワゴン」の広告デザインを任された佐藤は、ある社員が言った「家族との外出が苦痛だ」というセリフから、「子どもと一緒にどこ行こう」というフレーズが浮かび、一気にクレヨンで3日でデザインを仕上げました。

従来の商品スペックや車の用途を想起させる説明的な自動車広告とは違い、「家族で一緒に出かける」という商品の「本質的な価値」を全面的に訴求することで、ミニバン市場で1位を記録します。

このように佐藤可士和は、会社員時代から、仕事を形式的にこなすのではなく、納得がいくデザインを考えて、本質的な価値を広告により訴求することに一貫しています。

MEMO

ミニバン は、車体形状や使用形態により分類される自動車の形態のひとつである。米国での分類でフルサイズバンより小さいであるためそう呼ばれる。

日本の形式的な文化は、ツイッターでも話題になっていましたね。

楽しくなるように24時間努力

ちょっとした思い一つで仕事は面白くはなるし、つまらなくもなる。それを習得したんです。スーパーポジティブシンキングになるようにしたんですよ。

仕事で迷うことは?
毎回不安に思うし、悩んでいるし、だから納得の行くまで検証している。根本から調査、ヒアリングしている。

佐藤可士和は形式主義には一切陥らず、とにかくデザインについて徹底的に考えます。形式的に仕事をこなしていたら仕事はつまらないものになります。しかし、本質的な価値を追求する佐藤可士和はそうならないわけですね。

迷ったときは最も困難な道を選ぶ

やっぱりなかなか皆さんと、僕が広告を作っていてよく思うのが、広告って基本見てもらえないものだと思うんですよ。世の中にある大量の情報の中で、一瞬でその存在感を示すっていうのが、どれだけ難しいかってことをいつも痛感してやってるんですけども、いっぱい言いたいことがやっぱ山のように僕もあるんですけれども、本当の意味で見てもらえる広告を創るってのは、すごく難しいかなって思ってるので、かなりバーンと割りきってやらないと記憶に残らないのかな、と思っているのでこういうのを考えてきたんですけれども

佐藤可士和は、タレントは一切使わなければ、機能も一切告知せず、誤魔化しが効かない方法でやります。とにかくプロダクトにフォーカスすることが、一番強く、人々の心を捉えると考えているからです。

これは従来の広告からすれば、常識外れです。そのため、プレゼンの際は1時間前から会場で入念に準備するなど、努力を怠りません。佐藤可士和はこのように、マーケティングにせよ、プレゼンにせよ、デザインします。

まとめ

こうやって佐藤可士和がデザインを作る過程や考え方をみてみると、どうして名立たる大企業の経営者たちがデザインを依頼するのか、よくわかります。現にセブンイレブンは佐藤可士和がデザインした後に急成長しています。

全てのクリエイターの方に、佐藤可士和のエッセンスを取り入れてもらいたいと切に願います。また、一般の人でも、佐藤可士和のこだわりを取り入れると生活が変わります。

僕は佐藤可士和の発想や考え方を取り入れて、ミニマリストになり、家のインテリアや所有物を1つ1つこだわるようになってから、生活の質(QOL)が飛躍的に向上しました。ぜひ皆さんも試してみてください。本当に快適になりますよ♪

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA