新卒入社一ヶ月で会社を辞めた理由

法人格獲得の指南書「貧乏はお金持ち」橘玲

法人格獲得の指南書「貧乏はお金持ち」橘玲

「貧乏はお金持ち」という橘玲さんが法人格を薦める名著を読了しました。とても素晴らしい内容だったので、紹介します。

貧乏はお金持ちの内容

この本は会社にしがみつくのではなく、自分の稼ぐ力で生きてこうという人たちに会計や税務、ファイナンスの知恵を貸してくれる。結論からいうと、エピソードが冗長で多少退屈なところもあったが、結構発見があって面白かった。以下、発見を引用しつつ書きたいと思う。

お金を獲得するたったひとつの方法

若いときはみんな、自分の人的資本(労働力)を労働市場に投資して、給料というリターンを得ている。人的資本は要するに稼ぐ力のことだから、知識や経験、技術、資格などによって一人ひとり違う。

大きな人的資本を持っている人はたくさん稼げるし、人的資本を少ししか持っていない人は貧しい暮らしで我慢しなくてはならない。

働く力(労働力)を経済学では「人的資本」という。人的資本とは労働力のこと。その労働力を僕たちは会社に売って給料を得ている。こういうことは感覚的にはみんななんとなく理解していることだけど、言葉としてちゃんと説明できる人は少ないんじゃないか。

ところが、そんな感覚的なことを橘玲さんは僕たちに簡単に説明してくれる。お金を獲得するには、『資本を市場に投資し、リスクを取ってリターンを得る。』だけだと。

サラリーマンと起業家の決定的な違いとは「会計・税務・ファイナンス」

それは、サラリーマンが企業活動(お金を稼ぐ経済活動)の主要部分を会社に委託(アウトソース)してしまっていることだ。これは具体的には、会計・税務・ファイナンスである。

会計は収支や資産や管理する仕組みで、税務は所得税や消費税などを国家に納税する経済行為だ。ファイナンスは資金の流れを把握し、資本市場から効果的に資金調達することをいう。

会社に雇用されると「お金を稼ぐ経済活動の主要部分(会計・税務・ファイナンス)を会社任せにしてしまっている。確かにサラリーマンをやっていたらこんなの勉強する機会なんて普通はない。

サラリーマンとは、自分の力で生きていくために必要な三大能力(会計・税務・ファイナンス)をアウトソースしているため、自分自身の力で稼ぐ力が養えないのだ。

労働市場の流動化が進んだアメリカの4分の1はフリーエージェント

1980年代以降、欧米化など先進諸国で増え続ける新しい就業形態で、労働市場の流動化が進んだアメリカでは全就業者数の4分の1、約3300万人のフリーエージェントがいるという。

アメリカでは4分の1もの就業者が、「フリーエージェント」だという。

フリーエージェントとは「組織に雇われない働き方をする人」

フリーエージェント (free agent) とは、組織に雇われない働き方をする人々である。主にインターネットを使って自宅で働き、アメリカでは労働人口の四分の一がこの働き方を選んでいる。

定義:「正規雇用者として組織に所属することなく、他者による時間的、空間的、対人関係的、また職務内容的な制限を受けずに、本人の自由裁量に基づいて働くこと」(正社員と比較して相対的に)

日本人の馴染みのある言葉で例えると「フリーランス」になりますね。

フリーエージェントを法人化したものが「マイクロ法人」

ここからさらに興味深い内容になったので、一部を下記に抜粋する。

このフリーエージェントが法人化したものが、マイクロ法人だ。(中略)

会社をつくることによって、個人とは異なるもうひとつの人格(法人格)が手に入る。そうすると、不思議なことが次々と起きるようになる。

詳しくは本編を読んでほしいのだが、まず収入に対する税負担率が大幅に低くなる。さらには、まとまった資金を無税で運用できるようになる。そのうえもっと驚くことに、多額のお金をただ同然の利息で、それも無担保で借りることができる。

こうした法外な収益機会は、本来、自由で効率的な市場ではありえないはずのものだ(経済学の大法則は『市場にはフリーランチ(ただ飯)はない』だ)。

ところが実際には、人格をひとつ増やしただけで、簡単にフリーランチにありつくことができる。(中略)マイクロ法人は、国家を利用して富を生み出す道具である。

フリーエージェントを法人化させたものがマイクロ法人だという。このマイクロ法人をつくることでもう一つの人格を獲得できるというから驚きだ。

法人とかよく聞くけど、意味はよく知らないよね。そうして人格をひとつ増やすことで、税金負担率が下がり、資金を無税で運用できるようになると。凄い。

アメリカにはフリーエージェントが3300万人もいる

ダニエルピンクの試算によれば、アメリカには1650万人のフリーランス、350万人の臨時社員、1300万人のミニ企業家(マイクロ法人)がおり、フリーエージェントの総数は推計3300万人になる。そのうえさらに、フリーエージェント予備軍として、在宅勤務で働く社員が1000万人以上もいる。『雇われない生き方』は、アメリカの労働形態を大きく変えつつあるのだ。

アメリカだと雇われない生き方をしている人は多いんだね。国によってホント全然違う。日本の殆どの人は会社員であり、満員電車で通勤するスーツを着たサラリーマンである。つまりは、雇われて生きている。

日本にはフリーランスが40万人しかいない

日本は40万人のフリーランス、300万人の臨時社員、30万人のマイクロ企業家しかおらず、フリーエージェント人口はアメリカの約10分の1の370万人だ。

それ以上に特徴的なのは、臨時社員(非正規労働者)の数がアメリカのほぼ同数とその割合が突出して高いことだ。それに対してフリーランスやマイクロ法人の数は5%にも満たない。

日本人の働き方がいかに強く会社に依存しているかがわかるだろう。p68

日本はというと、この通り、雇われる生き方が多数だ。最近はようやくその生き方に疑問をもって大企業をやめる人たちが増えてきたりしたが、まだ依然として「いい大学→いい会社」の生き方を目指している人たちが多い。

個人でも法人格を得ることで、中小企業と一緒の優遇制度の対象になる

個人が無担保でファイナンス(資金調達)しようとすれば、消費者金融で高利のカネを借りるしかない。

ところがマイクロ法人は中小企業に対するさまざまな優遇制度の対象になるので、1000万円程度なら無担保、無利息に近い条件で資金を調達できる。この資金を借り替えていけば、ただでお金をもらうのも同じ話になる。

法人格を手に入れることで、1000万程度ならほぼ無担保無利息でファイナンスできるらしい。らしいというか、実際にいま僕が勤めているベンチャー企業で、この前1000万円のファイナンスしてた!(審査落ちたけどそういう制度は実際にあった)からどうやら本当のようだ。

株式会社と合同会社の違いは14万円を節約するか、しないか

株式会社を設立する場合、設立時に最低でも定款認証手数料5万円と登録免許税15万の合わせて20万円(及び印鑑代などの雑費)が必要になる。

一方、合同会社は6万円の登録免許税と雑費だけで設立できる。この差額の14万円を節約したいひとが、株式会社ではなくて合同会社を選ぶのだ。

20万で株式会社を設立できるんだね。合同会社で起業するなら6万のみ。

高校中退の元フリーター社長「本社六本木、資本金5000万円、社員100名、売上100億円」の実態

法人や日本型資本主義の仕組みを知っているともっと面白いことができるようになる。新しい会社と取引をする際に相手が気にするのは、社長や社員の学歴や職歴ではなく、本社の所在地や資本金、従業員数、売上高などだ。(中略)

会社法においては社員とは出資者=株主のことだ。法律用語では社員数は株主の総数のことだが、世間一般では雇用契約を結んだ従業員を社員と呼ぶ。だがこれは単なる慣例なので、言葉の定義を変えても誰も文句はいわない。

歩合契約の登録スタッフを社員と呼ぶことにすれば、その数は簡単に1000人や10000人にできるだろう。会計の基本を知っていれば、実際に資金が動いていなくても、他の会社と売掛金や買掛金をやりとりすることでいくらでも売上高を増やすことができる。(中略)

たったこれだけの工夫で、本社六本木、資本金5000万円、社員100名、売上100億円の仮想会社ができあがる。その社長が高校中退の元フリーターだとしても、よはや彼は社会の落後者ではなく、立見出世物語のヒーローだろう。

法人格を獲得して上手いことやると、ちゃんと会社法に則った上で、フリーターがそれなりの経営者になれるみたいだ。ホントにワンダーランドだね。この後に色んな節税の話が詳しく記述されて、最後にあとがきで下記のように綴られる。

レストランや雑貨店をはじめる若者たちに欠如しているもの

最近では古いビルやマンションの一角を改装し、レストランや雑貨店をはじめる若い人たちが増えている。私の住んでいる街でもそんな店がたくさんできたが、ほとんどが数年で力尽きて閉店していく。

彼らにアドバイスする立場にはないのだが、いつも残念に思うのは、頑張るだけでは問題は解決したいということだ。彼らにもし、会計や税務、ファイナンスの基礎的な知識があれば、無駄な出費や高利の借入でせっかくの挑戦を台無しにしてしまうこともなかったかもしれない。

僕の周りでもレストランや雑貨店が何度も閉店していったよ。彼らが、この本に綴られているような会計、税務、ファイナンスの基礎知識(お金を稼ぐ経済活動の主要部分)を知らなかったために、夢破れてしまったのだとしたら、これ以上悲しいことはない。そんな悲しさを味合わない為にもこの本を読んでみることをオススメする。