マーケット感覚とは、どういう感覚なのだろう?
とも
月間200万PVの超人気ブロガーちきりんさんの8冊目の本(2015年2月出版)です。ちきりんさんの本はいつも非常に勉強になる内容ばかりなので、何度もこのブログで紹介してきました。以前の紹介記事にご興味ある方は下記をタッチしてください。
参考
ゆるく考えよう12選 ちきりん【要約・感想・書評】ともろぐ
参考
ちきりん著「自分の時間を取り戻そう」から学ぶ人生を楽しむ力ともろぐ
今回のテーマは、自由を獲得するために必要な生きる力と稼ぐ力の中核となる能力、マーケット感覚です。ということで、今回も学びが大きい部分と印象深い箇所を紹介していきたいと思います。
マーケット感覚を身につけよう13選
幼児や動物には、すぐ身近にある金塊の価値に気づく能力がないのです。このように、自分のすぐそばに「価値あるもの」が存在していても、その価値を認識する力がないと、「自分の周りには何も価値あるものがない」と思えてしまいます。「価値ある能力」ではなく、「価値ある能力に、気がつく能力」です。価値を価値と認識する能力を欠いたままでは、いくら大量の金塊を手に入れても、不安が消える日は永久にやってこないでしょう。
マーケット感覚を身につけようの中から、13つに厳選して紹介します。
成功を収める人=売れる価値に気づく能力
マーケット感覚の有無によって、同じモノが、同じ人が、そしてまったく同じ環境が、「なんの取り柄もないモノ」に見えたり、「大きな価値のある、これからの世の中で強く求められるモノ=売れるモノ」に見えたりします。会社を辞めることに不安を感じない人や、ごく普通の会社員から一転、異分野での成功を収めるような人は、なにか特殊な能力を持っていたというよりは、自分のごく身近にある「売れる価値に気づく能力」を持っているのです。(中略)「自分には何の才能もない」「会社をクビになったら食べていけない」などと嘆く人は、マーケット感覚がないために、自分の身の回りにゴロゴロと転がっている潜在的な価値の素に、気がついていないだけなのです。
会社員ではなく、自分で事業を営み、事業所得によって生計を立てている人は、市場(マーケット)から求められるモノの感覚が優れています。そしてそれを商品として市場に投入し、フィードバックを得ながら品質改善を重ねて、高付加価値商品にしていくのです。
そういった意味では、メルカリやブログ運営ほどマーケット感覚を養えるビジネスはありません。なぜなら、メルカリもブログも市場(ユーザー・消費者)が求めているモノを提供しないと、全く売れないし読まれないからです。
最近だとスマホアプリ界隈を轟かせた質屋アプリ「キャッシュ」が熱いですね。売りたい物のブランドとカテゴリを入力してスマホで撮影するだけで、瞬時に査定額を表示して即時現金が貰えるです!
誰に何の価値を提供するの?
先日起業した知人が「教育サービスを提供する会社を作った」というので、「誰に何の価値を提供するの?」と聞いてみました。ところが、「質のいい教育サービスを提供します!」以上の答えが返ってきません。(中略)クラウドソーシング市場では、単価の高い仕事に必要なスキル、資格や経験が、極めて具体的に開示されています。市場化が進む社会で高く売れるのは、「よい商品」ではなく、「需要に比べて供給が少ない商品」なのです。マーケット感覚のある人は、「どんなによい商品を作っても、供給者が多すぎると儲からない」と理解しています。
これは多くの日本企業が不得意としているマーケティングですよね。高度経済成長時代のいいものを作ればモノが売れる大量生産、大量消費の成功体験を引きずっているために、とにかく高品質で低価格のものを作れば売れると思っている企業が多いです。
しかし、モノに溢れて、情報に溢れている現代社会では、マーケティングがものをいいます。そこでこのマーケット感覚を掴むのに最適なのが、クラウドソーシングのサイトを閲覧してみることだと思います。嫌でも需要と供給を痛感させられますので。
需給バランスに合わせて専門性をシフトする重要性
自分が勉強している間に、その仕事に対する需要の大きさが変わってしまうかもしれないのだから、ひとつの分野にこだわり続けるより、需要が増える分野を見極め、伸びている分野にすばやく移動することのほうが、よほど有用な場合も多いのです。(中略)ここ数年、スマホゲーム(ソーシャルゲーム)が大ヒットし、ゲームクリエイターやプログラマーが、医師や弁護士より高い年収で引き抜かれるといった状況が起こりましたが、彼らは、「10年前から、ソーシャルゲームについてのスキルを磨いてきた人」ではなく、「他者より早めに、ソーシャルゲームの分野に(別の分野から)移ってきた人」なのです。 このように、市場化の進む社会におけるキャリア形成では、市場の動向をイチ早く見極めるためのマーケット感覚と、需給バランスの変化に合わせて自分のスキルや専門性をシフトするための柔軟性や決断力が、何より重要になるのです。
ブロガーなどのメディア運営者は、この嗅覚がとても大切です。これを業界では「波乗り」といいます。やはりブームには、逆らえないんですよ。例えば、2017年は仮想通貨がブームでした。このブームにいち早く乗れた人は億り人となっています。
この通り、市場の動向をいち早くキャッチする能力は、激動の時代において、ますます重要なスキルになってきています。
英語という思考停止
今、欧米のグローバル企業は、フィリピンに経理処理センターをつくり、インドにIT部門をつくって、自社の経理作業やITサポートを、それらの国の人に任せ始めています。これにより日本を含む先進国のオフィスでは、英語ができる経理スタッフやITスタッフが不用になりつつあるのです。アメリカ企業が、米国内のコールセンターをインドに移したのも同じです。
英語で仕事ができ、圧倒的に安い給与で働いてくれるインド人に、アメリカ人は仕事を奪われました。今や「英語で仕事ができる」ということが、本格的にコモディティ化しつつある(=供給の多い、単価の安い仕事になりつつある)のです。 しかもインドやフィリピンでは、これからまだまだ人口が伸び、教育レベルも上がっていきます。そうなれば英語力だけでなく、ビジネスの遂行能力にも優れた「英語人材」が、世界の労働市場に大量に供給されます。(中略)
これまでなら、英語ができればアメリカ人やイギリス人と仕事を奪い合えたのに、これからは英語ができても、仕事を取り合う相手はフィリピン人やインド人です。各国の1人当たり所得を思い浮かべれば、高いコストをかけて英語を勉強しても、報われるレベルは大きく違ってくるだろうと容易にわかるはずです。供給の少ないもので、強く求められるものは何か、と考える癖をつけると、「とりあえず英語」という一種の思考停止からも脱却できるようになるはずです。
僕の知人に英語を仕事に活用したいという人がいるのですが、日本では難しく、フィリピンで働いていました。今や英語で食べていくには、人件費(労働力)の安いフィリピンやインドに移住しなければ、英語での仕事が困難になってきているのです。
もちろん、他になにか専門的なスキルがあれば、日本でも十分に英語を活用しながら働くことができるでしょう。つまり、グローバル化が進行するこれからの時代は、昔と違って英語学習の生産性が低下しているのです。これが市場の影響力です。
貯金は美徳という風潮の出自は金融業界
上位レイヤーの市場間競争において金融機関は、「安心の老後には何千万円が必要」「子供を1人育てるには何千万円かかる」と煽りに煽ることで、お金を消費市場から貯蓄市場にひっぱってきます。書店に並んでいる多数のマネー誌は、金融業界が一丸となってお金を貯蓄に向かわせるための「貯蓄・投資市場の広報誌」です。(中略)
こうして個人のお金は、消費市場の中でいろんな企業が取り合いを始める前に、貯蓄市場に取られてしまうのです。 もちろん下位レイヤーの貯蓄市場や投資市場の中では、複数の銀行や証券、保険会社などが激しいシェア争いをしているのですが、そのひとつ前に、大きな枠組みとして「お金を使う世界」と「お金を貯める世界」の競争があり、金融機関はみな、このレイヤーの競争が非常に重要だと理解しています。
一般の人は「銀行にお金を預ける」とか「住宅ローンを借りる」という言い方をしますが、金融機関で働く人から見れば、「定期預金を売る」「ローン商品を売る」です。 貯金は商品であり、金融機関はそれを売って利益を上げています。丸の内や大手町にある銀行や保険会社の本社ビルの立派さを見れば、彼らがそういった商品を売ることで、どれくらい儲けているかよくわかるはずです。
日本人は貯金が大好きですよね。そして貯金することがすごい大切という風潮があります。では、このような風潮はどこから生まれたのでしょうか?それが金融業界なんですね。
貯金すると安心感を得られますが、真の意味で安心感を得るには、貯金するよりもそのお金を自分に投資して、能力を高めることで、たくさんのお金を稼げるようになったほうが、長い目でみるとより安心感を得られないでしょうか?
日中戦争の開始以降、国債の償還や軍需産業への融資を円滑にするため国民に貯金が奨励され、昭和13年(1938年)4月18日にはこの業務を担当する部局として大蔵省に国民貯蓄奨励局が設置されるなど、貯蓄奨励が組織的に進められました。
出典:国立公文書館
また、貯金は美徳といった価値観は、大日本帝国時代(日本の旧称:昭和10年〜22年「1937~1947年」)の国のプロパガンダ(政治的な宣伝)によって作られたものなんですよね。
この辺りの日本の教育による洗脳については、下記の記事にまとめてあります。
参考
堀江貴文本「すべての教育は洗脳である」が脱社畜の方法ともろぐ
自分は何を価値として売っているのか?
同じような価値を売っている売り手は、他にもたくさんいます。糸井重里さんの運営する「ほぼ日」や、カリスマ主婦の栗原はるみさんが勧める料理グッズも同じでしょう。彼らも、ごく限られた数の商品を取り上げ、その特徴や使い方、さらには、顧客がなぜその商品を選ぶべきなのか、詳細に説明します。ここで重要なのは、その説明の合理性ではありません。説明を聞く前から、顧客側が「この人は、私が信じられる人だ」「この人は、自分に合う商品を理解してくれている」と感じていることが重要なのです。
これから重要になるのは、「自分は何を売っているのか」「何を買っているのか」について、意識的になることです。糸井重里さんや栗原はるみさんは、自分が売っているのが手帳やフライパンだなどとは思ってもいないでしょう。売っているのは、モノを選ぶときの価値観やセンスであり、毎回の販売を通じて獲得した(孫が祖父母にそう思われているのと同じレベルの)購入者からの信頼感です。それがわかっているから、彼らは成功しているのです。
ほぼ日ブランドが売っているものは、単なるグッズではなくて、ほぼ日特有の価値観やセンスなんですよね。人気ブランドを作る上で大切なことは、逆説的ですが、何をするかよりも何をしないか?という捨てる技術だったりします。
そうしたガイドラインがあることで、価値観やセンスが統一され、ブランド価値が向上し、商品のコモディティ化を防げるわけですね。そう、これからは何を売るかよりも、誰が売るか?という機能面以外の価値が問われる時代になってきているのです。
割引価格の注意点
自分独自の基準で考えれば、たとえ半額でも要らないものも多いはずなのに、半額で買えると、「安かった!得した!」と大喜びする。もしレストランが店頭でワンドリンクサービスを実施すれば、訪れたすべての客が同じ割引を受けられます。だからクーポンやQRコードを使い、「それらをダウンロードする手間を掛けてでも、ビール1杯を無料で飲みたい!」という客に対してのみ割引し、他の客には割引しないという方法を採るのです。
割引価格が与える購買意欲は凄まじいものがあります。それを実感したのが、脱毛のお店選定です。無料体験に申し込んだ脱毛サロンで、初回限定で80%OFFの割引カードが配布すると言われてしまい、契約してしまったことがあります。
あとで冷静になって、何の割引特典もない湘南美容外科クリニックの方が、お得に脱毛できたので、その脱毛サロンの契約はクーリングオフしました。そんな経験があるので、割引特典があるから必ずしもお得ということではないのです。
僕は幸いにも、マーケット感覚を養えていたので、「割引特典込でも市場価格よりも高くないか?」と判断することができました。このように、マーケット感覚は普段の買い物でも役立ちます。
自分の欲望と素直に向き合うこと
自分の欲望と素直に向き合うことです。これができない人は、マーケット感覚を身につけるのがとても難しくなります。 日頃から「こういうことがやりたい。でも、どうせできない」「あれが手に入れたい。でも、どうせ手に入らない」と考えていると、いつしか、それが自分の欲しいものだと、わからなくなってしまいます。 人間なら誰でも持っている、自分が傷つかないよう守るための防御システムが、「どうせ手に入らない」という気持ちを「そんなに欲しくない」という気持ちに変えてしまうからです。
成功しているビジネスパーソンはみんな、自分の欲望にとても正直だし、かつ、ストレートにそれを表現します。「アレがやりたい!」「コレを実現したい!」と、突拍子もない希望を次々と表明します。 こうして自分の欲望に素直に向き合うと、自分の中にある欲望センサーの感度が高まり、他者の欲望や、人間全体に共通するインセンティブシステムについても、理解が進みます。そうすると、市場で人がどう動くかもわかるようになり(=マーケット感覚が鍛えられ)、結果としてビジネスも成功するのです。
やりたいことがないという人は、自分が傷つかないように守るための防御システムが作動していますよね。自分の欲望を押し殺していると、人間という繊細な生き物は「どうせ手に入らない」から「そんなに欲しくない」に置き換えてしまうんですね。
これの典型例が恋愛です。可愛い子がいても、自分が傷付きたくないばかりに、色々な理由を付けて諦めてしまうのです。そして、いつしか「別にそこまで可愛くない」と正当化してしまうわけです。このように実は皆やりたいことってあったりします。
参考
やりたいことがないとは?新垣結衣と付き合う方法ともろぐ
インセンティブシステムの活用
ニコニコ動画を運営するドワンゴは、朝が苦手なエンジニアの出社時刻を早めるため、午前中に行なわれる社内体操に参加したら、昼の弁当がタダでもらえる(しかもジャージ姿の女子マネージャーから!)という仕組みを導入したことがあったそうです。 ドワンゴは企業ですから、社内規則を作るなり罰則を作るなりして、出社時刻に強制力を持たせることも可能だったはずです。
にもかかわらず規則のかわりに、「社員が早く出社したいと思う動機付けの仕組みを作る」という発想は、とても市場的です。マーケット感覚の弱い人は、こういうときにすぐ「月に5回以上、遅刻した場合、翌月の給料を減らす」といったルールを作ってしまいます。しかしそんなことをすれば、朝の弱い(しかし、技術力は非常に高い)エンジニアが、退社してしまうかもしれません。それでは本末転倒です。
このように、インセンティブシステムを利用して問題を解消するほうが、よほど賢いということはよくあるのです。 なのに世の中には、こういった問題を規則や罰則で解決しようとする組織がたくさんあります。そして、そういう場所で長く働いていると、問題はそうやって解決するものだと刷り込まれてしまい、「どうやったら強権を発動せず(=規制を強化しなくても)、みんなが自分から動くようになるだろう?」と考える、インセンティブシステムを活用した問題解決の発想が身につきません。
何かあるたびに「規制を強化すべきだ!」と叫ぶ人を見ると、私は心底ぞっとします。そんな人ばかりになってしまったら、罰則だらけの息苦しい規制社会に向かうだけです。問題があれば、まずは人間のインセンティブシステムを利用してなんとかできないか、考えるべきなのです。そうすれば嬉々として、問題を解決する人が現れるのですから。
人を動かすとき、いい方向に動かすためにインセンティブを導入する方法と、罰則を与えて規制する方法があります。このどちらの方法を取り入れているかで、その国や企業の文化がみえてきますよね。
僕も会社員時代に、怒られて動かそうとする方法と、インセンティブで動かそうとする方法どちらも体験したので、ちきりんさんのインセンティブシステムによる問題解決法に深く賛成です。
参考
ブラック企業の特徴・見分け方と入社する方法17選ともろぐ
市場型の公平性と組織型の不公平性
よく「市場では強いものしか生き残れない。市場は弱肉強食だ」と言う人がいますが、現実には反対です。組織型の意思決定方式では、少数の「選ばれたもの」のみが絶賛され、選ばれなかったものには、まったくチャンスが与えられません。組織の評価に慣れた人は、特定の意思決定者の価値観を意識してプレゼンテーションをしたり、ときには直接おべっかを使ったりもします。それらは「人脈力」とか「根回し力」などと呼ばれ、大組織では、そういったことに長けた人が「仕事ができる」と評価されることもあります。 ですが、そんな力をいくら身につけても、市場型の評価が行なわれる世界では、まったく役に立ちません。
僕が最初から組織にコミットせず、市場にコミットする生き方を選んでいるのは、組織型の「不公平性」が大きいです。よく市場型は格差社会と言われるんですが、組織型の方は不公平なんですよね。
ちなみに、平等と公平の違いは下記のつぶやきが大変興味深かったです。
なんか最近「平等という建前で弱者も強者も老若男女構わず全員平等にぶん殴ってたら弱い奴から倒れるだろ」(大意)という意見を読んで、三原順「はみだしっ子」の「橋の下の例え話」を思い出した。こういうことなんだよな(白泉社文庫版5巻261頁) pic.twitter.com/pf4fv0OEvG
— 岸本元 (@bowwowolf) 2015年1月27日
P(計画)よりD(実行)
市場化した社会では、「作り込み能力」より、「素早い行動力と迅速な意思決定」のほうが重要であるため、前者には圧倒的な強みがあるのに後者の能力に劣る日本企業が、苦戦を強いられているのでしょう。「組織内で選ばれたものを完璧に作り込んで市場に問う」方式から、「有望な案はすべて市場に問い、市場からの評価によって残すものを決めていく」方式への移行が進んでいる背景には、技術や消費トレンドの変化のスピードが、今までになく速くなっているという事情があります。
「とりあえずやってみる」人が得られるチャンスは、慎重に作り込む人が得られるチャンスより、はるかに大きくなります。誰も読んでくれないかもしれないけど、とりあえずネット上に文章を書いてみる人、誰も使ってくれないかもしれないけど、とりあえずアプリを作ってみる人、誰も買ってくれないかもしれないけど、とりあえずイラストスタンプを作ってみる人、成功するかどうかわからないけど、とりあえず起業をしてみる人のほうが、「やってみて決める」世界では、チャンスをつかみやすいのです。(中略)
「自分はもっと学ぶ必要がある」と気がついたら、学校という最初のステップに戻るのではなく、市場で学ぶという二番目のステップに進みましょう。他の人に比べて自分は成長が遅いのではないかと思う人の多くは、勉強が足りないのではなく、市場での実践経験(失敗から学ぶ経験)が足りないのです。
僕らは失敗を恐れて、少しでも成功率を高めるために、ついつい作り込んでしまう傾向にあります。しかし、変化のスピードが年々早くなっている時代では、まず市場に投下して、当たったものにフォーカスする方法がチャンスを掴みやすいんですね。
あるときツイッターで、「小さな子供のいる主婦の私は、家の中をずっと動き回っているので、こんな電気膝掛けは役立たない」という反応がありました。私はこれをきっかけに、「この電気膝掛けは、同じ場所にずっと座っている受験生やプログラマーに特にお勧めです!」という一文を追記しました。立ち仕事の多い主婦に使いにくいという意見は、反対からみれば、動きの少ない人に最適な商品だということです。だったらそこを強調すれば、売れやすくなるだろうと学べたのです。
また、ちきりんさんが上手いのは、電気ひざ掛けという商品をブログで宣伝した際に、読者(市場)から弱みとも受け取れるフィードバックを受けたのですが、逆に強みにすぐさま変換したところです。素晴らしい発想の転換ですよね。
専門性を複数身につけること
「どんな組織も安泰とは言えない」と理解した人の中には、「専門性を身につけ、資格を取ることで、組織に依存せず生きていけるようになろう」と考える人もいます。しかしこれからは、専門性や資格の有用性についても、これまでの考え方は通用しません。 高度化する社会において、専門性は確かに重要です。しかし変化の早い時代には、20代に身につけた専門性が、60代まで40年間も通用し続ける保証はどこにもありません。 これからは一生にひとつの専門性ではなく、10年、20年ごと、時には数年ごとに学び直し、一生の間に複数の専門性を身につける必要があります。つまり、専門性を身につけたうえで、変わり続ける必要性があるのです。
1つの専門性だけでは安泰とはいえなくなっているため、複数の専門性を身につけることで、希少価値を高めることが大切です。つまり、ナンバーワンよりもオンリーワンを目指したほうが生き残れる確率が高くなってきているのです。
変化にワクワクする人と戦々恐々となる人
少子化による人手不足を解消するため、ロボット技術やAI(人工知能)技術が進化し、医療技術もどんどん高度化するはずです。こういった社会の変化こそが、より豊かな未来を創っていくのです。 マーケット感覚を身につけることの最大の利点は、それさえ身につければ、変化が恐くなくなるということです。今、急速に進む社会の変化を目の当たりにした人たちは、大きくふたつのグループに分かれ始めています。ひとつは、ワクワクしながら自分自身もその変化を楽しんでいる人、もうひとつは、日々伝えられる変化のニュースに不安を深め、どうやって自分と家族を守ろうか、戦々恐々としている人たちです。
これから日本はどうあがいても少子化になり、人手不足になります。そしてその労働力を補うためにAI開発が進化し高度化していきます。この未来には抗えません。だったら、変化に適応するための専門性を身につければいいだけです。
変化を恐れて、うだうだと世の中の変化を止める活動に力を入れるならば、少しでも変化に適応するための活動に力を入れた方が建設的でワクワクします。だから僕は変化を受け入れて、変化に適応する生き方を選択しました。短期離職も問題ないです。
参考
新卒入社1ヶ月で会社をすぐ辞めた・退職した理由【失敗・後悔】ともろぐ
ちなみに、これからの働き方や生き方については、ホリエモンこと堀江貴文さんと落合陽一さんの書籍が参考になりました。下記の記事に詳細をまとめてありますので、ご興味ある方はぜひご一読ください。
参考
10年後の仕事図鑑:堀江貴文&落合陽一【書評】ともろぐ
まとめ
マーケット感覚を身につけると、普段の買い物はもちろん、働き方に対して広い視野を持つことができます。高度化し、変化の速い激動の時代において、マーケット感覚は身につけておいて損はないので、日頃から意識してみることをオススメします!